高反発マットレスの真実、プロの寝具屋が大暴露

最終更新:2024年07月01日

高反発マットレスってそもそも何?

私は15年近く、敷き寝具を専門にたくさんのお客様にあらゆるマットレスを案内してきました。ボンネルコイルやポケットコイル、ファイバーや低反発、ラテックスなどの天然ゴムと実に様々な素材が存在するベッドマットレスとここに簡単に挙げるだけでもマットレスの種類は多様です。その中でも私が長年の接客で最も万人におすすめできると感じたのが今回説明する「ウレタンが芯材となる高反発マットレス」です。高反発マットレスは人体の背中の凹凸に合わせて、適切に形状変化しそれを一晩中維持する(体圧分散)性能に優れたマットレスです。

密度

高反発マットレスに最も重要なのはウレタンの密度です。密度が高ければ、人体を一晩中支え上げる短期的な強度と、数年単位で使ってもヘタれない長期的な強度を得られます。下記は市販されている高反発マットレスの密度とそれに対する評価です。

密度15-19D(kg/m3)
このレベルの密度の高反発マットレスは、そもそも密度を公開していません。価格も8,000円以下で販売されているものがほとんどです。寝具としては最悪の部類で、ウレタンは数時間から数日でヘタれ、高反発マットレスの特長を何一つ有していません。
市場相場:8,000円以下
密度20-28D
25Dのマットレスを実際に使ったことがあります。価格も安く、転勤族の一時的な寝具としては使えそうです。すぐにヘタれるので、家族そろって25Dのマットレスという選択は逆にコストが掛かりすぎると思います。
市場相場:8,000円~19,000円
密度30D
30D以上の密度を有しているマットレスは高反発マットレスと呼んでも差支えないでしょう。少なくとも3年は使えますし、反発弾性を一晩中維持するという機能も有しています。
市場相場:19,000~45,000円

密度30D以上あるのに、あまりにも安い価格のマットレスには注意してください。密度のかさ増し、偽証を疑うべきです。ここ最近の円安の影響でウレタン原料は値上がりを続けています。到底無理な価格を設定している高反発マットレスが、残念ながらとても多く散見されているのが現実です。

厚み

高反発マットレスの体圧分散を十分に活かすのであれば、厚み5cm以上が必要です。それ以下の厚みのマットレスでは、人によって底付きしてしまうため、体圧分散性能が著しく損なわれる恐れがあります。もちろん耐久性も下がります。10cmの厚みがあれば、ほとんどの体重の方が満足いく寝心地と耐久性を備えることができます。

反発弾性

低反発マットレスと高反発マットレスを明確に区分けするためのスペックが反発弾性だ。JIS規格においては反発弾性15%以下が低反発マットレス、50%以上が高弾性マットレスと位置付けられています。

しかし、一般的に市場に出回っている高反発マットレスのほとんどは反発弾性50%以下のものばかりなのが現状。密度の高さと40%以上の反発弾性を持ちうる高反発マットレスであれば、いわゆる体圧分散性能に優れ、おしりの部分はしっかりと沈み込み腰のくぼみは逆に押し上げサポートしてくれる理想の寝姿勢が実現できます。

硬さ(反発力)

高反発マットレスの硬さはよくN(ニュートン)で表記されています。しかし、これが高ければ良いマットレスという訳ではありません。あくまでも表面的な寝心地のかたさですので150N~2000Nの間で選んでおけば間違いはないでしょう。

ダンベルテスト

密度表記のない激安 高反発マットレスと密度30Dの高反発マットレスに、7.5kgのダンベルを置いて一日放置した後の結果が次の画像です。

推定密度25Dにダンベルを置いて放置した画像
¥6,980で販売されている楽天1位を獲得したこともある高反発マットレスは、たった1日で致命的なほど凹んでしまっているのが分かります。このマットレスのサイズと重量から算出される密度は25D程度です。これでは寝具として役立たずと言わざる得ません。

密度30Dにダンベルを置いて放置した画像
密度30Dの第三者証明もある高反発マットレスの場合は、1日経過後にダンベルを外すと一瞬で元の形状に戻ります。置いていた場所が分からなくなるほどの復元力です。

密度31Dにダンベルを置いて放置した画像
有名ブランド、自称密度31Dのマットレスもダンベルの影響はほとんど受けません。

ちなみに7.5kgのダンベルといえば、人間が仰向けに寝た場合に最も圧力がかかる箇所、腰尻部の重量に全く及ばない程度の重量です。腰尻部の一般的な成人の重量は20kg~30kgもあるのです。この腰尻部を寝ている間に支え続けられないならば、腰痛を発症する恐れがあるのも当然です。

高反発ランキング

1位ヨーネルコ
シングル価格
12,650円~33,000円
厚み
4~10cm
密度表記
30D(KAKENの証明書有)
重量
4㎏~7kg
ヨーネルコは一部の商品に30日間いつでも返品ができるサービスがついている。返品可能なマットレスは数あれど、返品キットが送ってきてしかも返品送料がかからないサービスは中々ない。高反発マットレスが不安だという人は、まずヨーネルコでじっくり2週間くらい寝てみることをおすすめする。お試しで重要なのは一週間程度で使用をやめてしまわない事だ。身体が慣れる1週間前後の目安が過ぎる前に、自分に合う合わないを判断してしまうと永遠に理想のマットレスに巡り合うことはできない。

ヨーネルコは現在、車(ハイエース)で活躍している。釣りが趣味なので既に3回くらい車中泊しているが、車中泊してるとは思えない寝心地に満足している。


【窓口】
楽天市場
Amazon
Yahoo!ショッピング
アウトレット販売
2位グングネル
シングル価格
33,000円
厚み
10cm
密度表記
36D(ボーケンの証明書有)
重量
8kg
寝返りの打ちやすさと、高反発マットレスにありがちなただの硬いだけではない弾力性の高さが特長のグングネル。中のウレタンを直接触ってみるとゴムのような弾力を感じることができる。この弾力性が、お尻はしっかり凹んで腰のくぼみはしっかり支え上げるレベルの高い体圧分散を発揮。

実際に使っているが、5年以上使ってもへたらないんじゃないかという耐久性を感じる。

グングネルの肝になっている90日返品サービスについて詳しく問合わせてみたところ、60日使った後の30日が返品期間になっており、送料などの費用を負担せずに返品ができるサービスとのことだ。ゆったり試せてある程度の期間内に返品を希望すれば良いので、ユーザーにとっては気軽に試せるのではないだろうか?

詳しいスペックを見る
3位フレアベル
シングル価格
38,500円
厚み
10cm
密度表記
なし
重量
10kg
中反発フォームとかいう独自の言葉を作り出し商標までとって採用しているフレアベル。あの「瞬足」などの大人気シューズを開発・販売しているアキレスが製造販売している。芯材が温度調節してくれる?らしいけど、Outlastみたいな微妙なやつかな?当然体感できるほどの温度調節機能はない。構造は高反発と中反発の二層構造。密度や反発弾性は不明の上に厚み10㎝のシングルで38,500円という強気な価格設定。

スペック詳細
4位エアウィーヴ
価格帯
25,000円~300,000円
密度表記
なし
サイズ
横100cm×縦195cm×厚み6cm
重量
7kg
エアウィーヴは中の芯材がウレタンではなく、釣り糸を溶かして絡め合わせたような材料を使っている高反発マットレス。なのでウレタンマットレスよりも軽くて通気性が高く洗えるから清潔で、お布団に慣れてる人にとっては有能なベッドマットレスと言える。

但し、ウレタンの高反発マットレスとはまた違った寝心地だし好き嫌いのはっきり分かれるベッドマットレスと言える。元スケートの浅田真央さん、テニスの錦織圭選手、タレントの渡辺直美さんなどが愛用しているらしい。様々な家具屋やデパートで試すことができるというのが強みだ。

多額のブランディング費用が製品に乗っかっているため、耐久性の低さや使ってる素材の安さに対して勇気がいるほど値段が高いというのが大きな欠点だ。

スペック詳細
5位モットン
価格帯
39,800円
密度表記
30D
サイズ
横97cm×縦195cm×厚み10cm
重量
7.5kg
昔、散々このサイトでこき下ろしたこともあるモットンだが、今はちょっとだけまともな高反発マットレスを生産するブランドになった。

国産を標榜するモットンだが、私は懐疑的だ。ウレタンだけ外国から輸入して、セットアップを日本で行うことによって日本製ってことにしていないか?実際にウレタンを触った私の率直な感想だから気にしないでくれ。

6位ごくみん(GOKUMIN)
価格帯
15,000円
密度表記
34D
サイズ
横97cm×縦195cm×厚み10cm
重量
6.5kg
個人的に現在最もインチキ度が高いと思っているマットレス。値段の安さで騙されている人が増殖している、私も含めて。第三者機関の証明を提示しなければスペックなんて何とでも騙れるし、ハイスペックを自称した上で価格を安くつければそりゃ売れるよねっていうとてつもなく怪しげな商品。

しかもスペックの販売元:日本(※最近「開発元:日本」に修正されました)って書いてるのは明らかに製造元:日本だと勘違いさせるための悪質な表記。これで寝れる人は正直どんなマットレスでも寝れるんじゃないかと思う。
7位ニトリの三つ折り高反発
価格帯
8,190円
密度表記
なし
サイズ
横95cm×縦195cm×厚み10cm
重量
4.6kg
価格の安さは圧倒的だけど、想定されるスペックもマットレスと呼んでいいものかどうかというレベル。天下のニトリが企画・製造しているとして、あまりにもお粗末な商品である。本当にこのマットレス(と呼べるかも怪しい代物)を使って試して納得したスタッフはいるのだろうか?

高反発マットレスが流行ってるから適当な海外工場でそれっぽいの作って、「ほら8,000円で買えるよ」ってユーザー舐めすぎでしょう。

結論

このサイトを読んでもどれにするか迷ってしまう人は、グングネルでじっくり60日お試しするのをお勧めする。これまで低反発やコイルマットレス、布団を使っていた人は特に。高反発がどんなものかを比較的長く体験できるというのは大きなメリットだ。

 

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